【韓国の報道機関ごとの社説】日本と北朝鮮が拉致問題の再調査で合意・その2

その1→【社説】韓国メディア「安倍の危険な火遊び」~日本と北朝鮮が拉致問題の再調査で合意・その1
 
韓国の感心するところって、「相手のせいにする」「被害者になる」ための理屈を素早く考え出すこと。
無意識でできるんじゃないかな。一種の能力だわ。
東亜日報が特にひどい。


ソウル経済
【社説】尋常でない朝鮮半島情勢…中心を正しくとらえなければならない
毎日経済
【社説】日本の安倍の北へのアクセス、核協調に亀裂を入れてはならない
東亜日報
【社説】日本の北朝鮮独自交渉は、北朝鮮の核の国際協力に亀裂を呼ぶ
国民日報
【社説】北日合意…南北・韓日関係も新しい局面模索を
京郷新聞
【社説】北朝鮮と日本は前進するのに、政府は傍観していてよいはずがない
 
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ソウル経済
【社説】尋常でない朝鮮半島情勢…中心を正しくとらえなければならない
 

南北をめぐる米国・中国・日本など3カ国の算法が複雑になっている。
米国は、韓国をミサイル防衛(MD)システムに引き入れるため、高高度ミサイル防衛(THAAD)システムの韓国配置説まで流して、圧迫を高めている。
日本と北朝鮮は29日、拉致被害者の再調査と制裁措置の一部解除の原則に合意して、韓米中3カ国を困惑させた。 
MDへの参加は韓中関係に、日朝合意は北朝鮮の核牽制に対する韓米日強調システムに亀裂をもたらす可能性があるという点で、いずれも軽視できない問題だ。

日朝合意は基本的に、強制的に拉致された日本人被害者に対する調査と、生存者の送還という人道的次元の問題だ。
しかし、過去の歴史ないし北朝鮮の核問題で、それぞれ仲間はずれや経済制裁を受けてきた日本と北朝鮮の和解は、韓米中日4カ国の核抑止の構図を揺るがす可能性のある事件である。
日本は北朝鮮の1、2回目の核実験と、天安艦爆沈事件が起きると、北朝鮮製品の輸入と北朝鮮船舶の入港、日本製品の北朝鮮輸出を禁止して、在日同胞対北朝鮮送金の制限を縮小(1000万→300万円)するなど、制裁水位を高めてきた。
このような報復措置が解除されると、国連の対北朝鮮制裁で詰まっていた北朝鮮の資金源に、突破口が開かれることになる。

波紋はこれでは終わらない。
日朝合意は、韓中両国との政治・外交的食い違いであり、報復的な側面を帯びているからである。
朴槿恵政府は、孤立化を通じた核問題の解決に依存する米国の対北朝鮮抑止戦略に過度に依存しているせいで、北朝鮮の変化を引き出すほどの立派なテコがない状況だ。
一方日本と北朝鮮は、今回の和解で、韓中両国を牽制して、6カ国協議などで各自の身代金を高めることができるカードを持つようになった。
拉致被害者の再調査と送還問題が成果を上げた場合、集団的自衛権の問題などで人気が落ちている日本の安倍晋三首相の長期政権と改憲推進に、足場を設ける可能性があるという点も憂慮される。

米国のMD参加要求も、トゲトゲしさでは同じだ。
戦時作戦統制権の返還再延期のビッグディール説が広まっている状況で、中国側も敏感な反応を見せている。
チャンガン外務省スポークスマンは、「地域の安定と戦略的バランスにとって利益にならない」と反対の意思を表明し、中国国営メディアまで「最も急速に発展する中国との関係を犠牲にすることになるだろう」と警告してきた。

朝鮮半島情勢がこのように揺れ動いているにもかかわららず、北朝鮮の核問題と南北関係は一歩も進まずにいる。
このような状況で、周辺の強大国のすべてが、韓国に向かって選択を要求している場面である。
だからなおさら韓国外交は正常に中心をとらえる必要がある。
そして、冷静かつ戦略的利益と交換していかなければならない。
ややもすると、揺れてひとりぼっちになったり、クジラの戦いで猫の背が炸裂する状況になる可能性もある。
外交原則と賢い行動が同時に要求される。

引用ソース
 http://news.naver.com/main/hotissue/read.nhn?mid=hot&sid1=110&cid=989444&iid=24498204&oid=011&aid=0002523200&ptype=011

毎日経済
【社説】日本の安倍の北へのアクセス、核協調に亀裂を入れてはならない
 

北・日関係が、拉致された日本人の調査を糸口にして、全面的な回復を模索している。
北朝鮮が拉致被害者問題を再調査するという前提の下で、日本は北朝鮮への旅行・船舶の入港・送金制裁を解くことで合意した。
双方は29日、合意文で、「不幸な過去を清算し、国交正常化を実現する意思を再び明らかにした」と述べて、国交正常化の意志も再確認した。
核兵器・人権問題で国際社会から孤立した北朝鮮と、歴史歪曲・右傾化で孤立した日本が、突破口を見つける過程で、利害関係が合致した結果だ。

日本人拉致被害者問題は、人道主義的次元で必ず解決しなければならない事案だ。
北朝鮮が調査をいかに誠実に進めるかによって、合意履行は紆余曲折を経るが、今回の合意は肯定的な側面も持っている。
北朝鮮の孤立に突破口を開いて、追加の核実験の可能性を低下させる効果もある。
経済再生のための外資誘致に喉の渇きを感じている北朝鮮が、日本との関係改善を推進しながら、あえて核実験を強行しようとはしないからである。

問題は、北朝鮮を圧迫してきた韓・米・日の協力体制に亀裂が生じる可能性である。
日本が独自の制裁を解除しても、国連レベルでの多国間制裁は維持される。
したがって、対北朝鮮協調が一気に弱まることはないが、北朝鮮と日本が独自の歩みをはじめれば、第2次大戦後に定着した韓半島周辺の秩序が揺らいで、6カ国協議の基盤まで崩れる可能性がある。
それなのに日本は今回の合意を発表する直前に、我々の政府に一方的に通知した。
米国務省報道官は「事前に伝達されていた」と明らかにしたが、米国との事前協議がどの程度までなされていたかも不明である。

朴槿恵大統領は28日に行われたウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「北朝鮮の追加核実験が周辺国に核ドミノ効果を引き起こす可能性がある」と警告した。
北東アジアの国々の協力の必要性が、それだけ高いという意味である。
日本は今回の北朝鮮との合意の過程と、今後の進行状況を詳しく説明して、韓・米・日の共助に亀裂が生じないよう協力しなければならない。
朴大統領は「光復70周年を迎える来年になる前に、日本が歴史認識を正して、信頼を築くことを希望する」と述べた。
日本は韓日関係改善のために、まず変化した姿を見せなければならない。

韓日関係と南北関係が突破口を見出せずにいる中、北・日の合意が出てきたのは、韓国の外交にも課題を投げかける。
習近平中国国家主席の6月に訪韓をテコにして、北朝鮮の核問題と日本の歴史歪曲について、変化をもたらすことのできる強力な外交原則を明らかにしなければならない。

引用ソース
 http://news.naver.com/main/hotissue/read.nhn?mid=hot&sid1=110&cid=989444&iid=995122&oid=009&aid=0003216905&ptype=011

東亜日報
【社説】日本の北朝鮮独自交渉は、北朝鮮の核の国際協力に亀裂を呼ぶ


北朝鮮が日本人拉致問題を全面的に再検討して、日本は独自の対北朝鮮制裁を解くことに電撃合意した。
日本が、自国内で関心が高い拉致被害者問題の解決に乗り出したのは、一面の理解はできるが、微妙な時期に尋常ではない合意をしたわけだ。
北朝鮮は4回目の核実験を、いつでも行うことができる状況である。
日本が発表直前に韓国政府にこの事実を通報したのも残念である。

北朝鮮は、国際社会の制裁と圧迫が強化されると、ついに日本を経由して活路を模索しているようだ。
日本は、韓国や中国との関係が最悪な状況で、拉致被害者問題を介して、安倍晋三政権の支持率を高め、集団的自衛権の行使の動力を得ようとするものである。
キム・ジョンウンと安倍の二人が、別々の思惑で手を握った形だ。
韓国と砂のような関係に陥った両国が、今回の合意によって、韓国に対する迂回的影響力を得ようとする意図もうかがえる。

日本は、北朝鮮の2006年の第1次核実験と、2009年の2回目の核実験を契機に、国連とは別に、独自の対北朝鮮制裁を取った。
また、北朝鮮の脅威を軍事的対応能力を育てる言い訳にした。
したがって、北朝鮮の軍事的脅威が相変わらずなのに、日本が対北朝鮮制裁を突然緩和することはつじつまが合わない。
日本が北の追加核実験を停止するためには、国際社会の努力を阻害しないよう、透明で慎重な対北朝鮮アプローチをしなければならない。
人道的次元で拉致問題を解決するためというなら、日本軍慰安婦問題にも積極的に乗り出すのが道理である。

北朝鮮は、朴槿恵大統領がドイツのドレスデンで明らかにした人道支援には、いろいろな種類の悪口を浴びせて拒否し、「百年の宿敵」と非難していた日本に向かって手を広げるのも哀れなものだ。
北は、国軍の捕虜と離散家族の問題に誠意を見せるなら、韓国の支援を得て、南北間の信頼を得ることができる。
日本との関係改善も、最終的には核を放棄しなければ不可能である。
核と経済の並進は、非現実的な目標だ。

朴槿恵政府の外交は、大きな試験台に上がった。
北東アジアでは、米国と日本に対抗して、中国とロシアが軍事協力を強化しており、韓国は米国のミサイル防衛(MD)システムへの参加問題で、米国と中国の双方から圧迫を受けている。
空席である大統領の国家安全保障室長と、国家情報院長に適任者を座らせて、渦巻く国際情勢に、より能動的に対処しなければならない。

引用ソース
http://news.naver.com/main/hotissue/read.nhn?mid=hot&sid1=110&cid=989444&iid=858432&oid=020&aid=0002584379&ptype=011

国民日報
【社説】北日合意…南北・韓日関係も新しい局面模索を
 

拉致問題の再調査と、日本の対北朝鮮独自制裁解除を骨子とする北朝鮮と日本の合意は、我々の政府の外交・安保政策を見直させることになった。
北朝鮮が日本との関係改善を通じ、外の世界に出てくるのは良いことだが、ややもすると、当事者である私たちが疎外される可能性がある点は懸念される。
梗塞した南北関係が続く中、北朝鮮の核問題の解決にも進展がなく、日朝の急速なアプローチは、私たちの選択の幅をさらに減らす可能性があるからである。

深刻なのは、北朝鮮と日本の今回の合意が成果を上げた場合、韓国としては、南北関係はもちろん、韓日関係にも進展が見られない外交・安保的無能が浮上する可能性があるという事実である。
日本は、朴槿恵政府が発足以来、強硬一辺倒で自分を追い詰め、国際社会で公然と恥をかかせようとすると、密かに北朝鮮接触を強化してきた。
今回の合意も、私たちの政府は発表直前までまったく知らなかった。

日本は自国民の拉致被害者問題を、北朝鮮が再び調べることの反対給付として、朝鮮総連と在朝日本人家族への対北送金、往来時の現金の携帯はもちろん、北朝鮮国籍の船舶の入港等の制限措置を撤廃することにした。
こうなった場合、国連安保理の対北朝鮮制裁決議案は、深刻な打撃を受け、廃止される可能性もあるかもしれない。
国際社会の対北朝鮮制裁が、無力化されることがあるということだ。


新しい外交・安保ラインは柔軟性で武装してこそ

しかし、今回の日朝合意をひっくり返して考えると、我々の政府の対北朝鮮や対日政策をもう一度練る機会になったいえる。
朴槿恵大統領が出した韓半島信頼プロセスの基本路線である「ドレスデン宣言」も、北朝鮮が反発するなど、南北関係の雪解けムードがなかなか来そうにない状況で、新たな突破口を用意しなければならない時期が到来したという意味である。

政府は発足初期、南北と対日関係で、原則対応を通じて一定の支持を受けていた。
ないものねだりをする北朝鮮と、過去を反省しない日本への強硬な姿勢は、私たちの自尊心を満足させるという肯定的な面もなくはなかったが、時間がたつほど効果が半減されて、最終的には日朝の急速な接近を招き部外者になるという境遇を免れなかった。
今、自己満足的な強硬一辺倒政策を変更する時が来たのだ。

強硬一辺倒ポリシーを再点検するときがきた

政府はこれまで北朝鮮と日本の問題を扱いながら、これといった柔軟性を発揮できないのは、政府内の外交安保ラインのタカ派の声が過度に高かったからである。
軍出身者が掌握した外交安保の重要人物たちが、冷戦的思考から抜け出せず、北朝鮮と隣国である日本を必要以上に刺激する発言を量産したので、適当で合理的な路線を志向するハト派の地位を狭くした。

我々は、内的に、セウォル号の惨事による後遺症で国民の士気が下がっている上、外的には、中国と日本の無差別的な拡散政策のせいで、内外でせむしになっていると言っても過言ではない。
国務大臣を人選できず、執権層は一隅に集まっていて、野党はパスポートを粘り強く攻めている。
国の改造を目指す政府は、組織を新たに絞る計画だが、国会を通過するまでには容易ではない道を歩まなければならない。
特に、目の前に迫った地方選挙の結果が、与野党の再度の先鋭的対決の場を作る可能性もある。

幸いなのは、ちょうど新しい外交・安保ラインを構築しなければならない時期を迎えたという事実である。
今回はより柔軟な思考を持った民間出身を重用して、変化に富んだ北朝鮮と国際関係に先制的に対応する戦略を駆使してほしい。
また、長期的には、日朝改善の動きが南北と米朝関係の改善にとってプラスの効果をもたらす可能性があるので、ひたすら深刻に考える必要はないという事実も忘れないでほしい。

引用ソース
http://news.naver.com/main/hotissue/read.nhn?mid=hot&sid1=110&cid=989444&iid=48815201&oid=005&aid=0000660562&ptype=011

京郷新聞
【社説】北朝鮮と日本は前進するのに、政府は傍観していてよいはずがない
 

北朝鮮は日本人拉致被害を全面再調査して、日本は対北朝鮮制裁を解除すると、日朝双方が一昨日、合意文を発表した。
北朝鮮は、拉致かどうかで日朝の意見の相違があった行方不明者について包括的に調査して、生存者がいる場合は日本に戻すことにした。
北朝鮮が異例的に日本側の要求に全面的に対応したものである。
日本はその見返りとして、調査が開始された時点から、2006年以来続いた対北朝鮮制裁を解いて、人道主義的支援と関係正常化を推進することにした。
これは2002年9月、金正日北朝鮮国防委員長と日本の小泉純一郎首相が発表した日本人拉致被害者問題の解決と関係正常化のための平壌宣言への復帰であり、双方の実践度合いに応じてそれ以上の関係に発展することができる道を開いた合意ということができる。

もちろん北朝鮮が実際に、日本が納得のいく結果を出すのか、もう少し見守るべきだが、従来の立場を撤回して、日本の要求を全面的に受け入れたこと自体は、十分に注目に値する出来事である。
何よりも、日朝の長い懸案だった人道上の問題を解決し、敵対関係を改善することにしたという点は、両国関係、ひいては東北アジアの平和のために意味のある前進だと評価することができる。
しかし、これらの合意が、北朝鮮と日本以外の隣国との関係が、これまで以上に悪化した状況で行われたのは残念なことだ。

日本は過去の歴史・領土問題と右傾化で、北朝鮮は核問題と対南挑発で、それぞれ韓日と南北関係を対立状況に陥れた責任がある。
そのため、どれだけ肯定的な波及効果が生まれるか保証することができない。
ややもすると、日本が韓日関係の改善のために、北朝鮮が南北関係の改善のために努力するよりも、放置したり、回避したりするきっかけになる可能性もある。
北・日アクセスの背景には、各自が直面している北東アジアの孤立状況を脱却しようという戦略的考慮の側面もあるからである。
したがって、韓日と南北関係の悪化は、北・日アクセスの原因であるだけでなく、結果となることもある。
このような状況は、朝鮮半島の平和、ひいては北東アジアの安定のために望ましくない。

北朝鮮と日本は、周囲の関係悪化を活用しているという疑いを避けるために、南北と韓日関係改善に積極的に乗り出す必要がある。
韓国政府も反省しなければならない。
統一部は、北朝鮮が日本に対してそうであるように、拉致被害者・離散家族の再会など、南北間の人道上の問題にも呼応するよう北朝鮮に求めた。
これは、他人が敷いたムシロで遊ぶという、無賃乗車心理のあらわれである。
このような時だからこそ、政府の対北政策の失敗がはっきりと浮き彫りにされている。
政府が南北懸案を解決しようとするなら、日朝合意に便乗するのではなく、自分で問題の解決に取り組まなければならない。
無料の昼食はない。
政府は硬直した姿勢を捨てて、南北対話を引き出さなければならない。

引用ソース
 http://news.naver.com/main/hotissue/read.nhn?mid=hot&sid1=110&cid=989444&iid=23129459&oid=032&aid=0002484329&ptype=011