中国包囲戦略、日米同盟に続いてもう米露同盟まで結成される見込み

メディアウォッチというサイトからチョヒョンヨン氏。

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中国包囲戦略、日米同盟に続いてもう米露同盟まで結成される見込み

「ヘルシンキ会談で米 - 露の連合で対中包囲戦略の信号弾」…「新興の中共の牽制のため、米国は不共戴天の敵であるロシアとも寝る(bedfellows)可能性」

チョヒョンヨン記者

フィンランドのヘルシンキで、米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の初の首脳会談が激しい暴風に苦しんでいる。
トランプ大統領が2016年にロシアの米国大統領選挙介入疑惑を問題視せず、かえってロシアを擁護するなど低姿勢だったとして議論になったものである。

米 - 露首脳会談以降、米国の民主党、ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポストなどの主流左派メディアは、連日トランプ大統領を対象に「反逆行為」「恥さらし」「アメリカ人を冒涜した」などの激しい非難に加えて、「反逆罪についての真剣な」法律解釈まで打ち出して大げさに騒いでいる。
米 - 北首脳会談当時よりも酷い低評価が、米国の反トランプ陣営で横行している。

しかし米 - 露サミットの成果と関連して、米国の現実的な国際政治学者の考えは、すでに終わった冷戦時代の反ソ連の構図の下で感情だけを前面に出している米国の反トランプ陣営とは大いに違う。 

米国の現実的な国際政治学者たちは、トランプ大統領の歩みはニクソン元大統領が主導したソ連牽制のための1970年代に中共に近づいた以夷制夷の長期的見識のある戦略的な動きの始まりだと分析しているのである。

中共の浮上で、アメリカとロシアが同盟を考慮する状況に

中共牽制のため、ロシアと新しい関係を作ろうとするトランプ大統領の戦略的外交の歩みと関連した  米国の現実的な国際政治学者たちの見解は、 ハリー・J・カザニス(Harry J. Kazianis)博士が代弁している。  

カザニス博士は米国ワシントンの代表的なシンクタンクである米国国益研究所(Center for the National Interest)の国防安保分科委員長を務めている人て、過去には米国のヘリテージ財団(Heritage Foundation)と米国の国際戦略研究所(CSIS)などのシンクタンクで訪問研究員として活動した本格的なリアリストの国際政治学者である。 

カザニス博士は 去る7月16日(現地時間)、米国の代表的な自由保守言論媒体の「ザ・アメリカン・コンサバティブ(The American Conservative)」に  「反中、米-露同盟到来(The Coming American-Russian Alliance Against China)」 という題のコラムを寄稿した。

カザニス博士は皮肉にもワシントンとモスクワが、近い将来に必然的に「共謀」する可能性が浮上しているとして、コラムの最初の文を次のように書いた。
「米国の左翼は、世界のすべてに『ロシアのスパイ』がいると信じている(While the progressive left sees a Russian spy around every corne)」

続いてカザニス博士は、現在の米国の左翼が理解できないでいる国際政治の力学構図の変化についての問題を紹介した。
彼は、「米国とロシアは冷戦時代から両国に悪影響を与える可能性のある既存の国際秩序の変化を非常に警戒してきた」と前提した後、「また歴史が私たちにいつも言ってくれているように、新たに浮上する覇権勢力はいつも既存に形成された国際秩序を自分たちの好みに合うように、新たに再構成することを望む」と説明した。 

カザニス博士のこのような説明は、 現実の国際政治状況が新たに浮上する新興覇権勢力を牽制するため、既存の競争相手である米国とロシアが迅速に連合を図るしかないという危機的状況であることを知らせようとするものである。

この点でカザニス博士は新たに浮上する新興覇権勢力はまさに「中共」だと強調し、下記のような分析を加えた。


「既存の中共浮上論の見通し(Projection)を認めるなら、今後中共の経済規模は、米国とロシアの経済を合わせたよりも大きいものとなるし、中共の強大な経済力が軍事覇権国へと置換するのは自明の現実になる( if projections hold、the Chinese economy will someday surpass America's and Russia's-combined。As economic power translates into clear military strength、the writing could be on the wall for what may come)」


カザニス博士は「米国とロシアはお互いに、相手国への怒りを解消し、根本的な視覚矯正をして、より大きな中共を相手にする準備をしなければならない(We could very well be at the start of a colossal shift in how America and Russia view each other as they gear up to take on a much bigger foe)」として中共牽制の必要性を提示した。

近い事例としてカザニス博士は、米国が直面している戦略的な対外環境を次のように概括した。

「ワシントンは北京を現存する脅威(clear present danger)だと認識している。
米国によって設計された国際秩序を中共が継続的に毀損しているからだ。
一例として、中共は米国の知的財産権(intellectual property)を数兆ウォンドル(trillions of dollars)規模で不法奪取しており、対中貿易赤字(trade deficit)を米国に起こし、数多くの仕事を奪っている。
さらに深刻なのは、米国の国家機密(先端国防技術)も中共に不法流出しているということだ。
さらに悪いことに、米国と一部の同盟国の間の経済と金融のパートナーシップも、脱冷戦後、ソ連の脅威が消えて瓦解(blown to bits)しているということだ。」 


カザニス博士は問題の深刻さはここにとどまらず、アメリカと中共の間の地政学的軍事的緊張感も日に日に高まっていると伝えた。
代表として中共は東シナ海/南シナ海(East / South China Seas)から台湾海峡(Taiwan straits)まで米国主導の「航海の自由(Freedom of Navigation)」を絶えず脅かしているということだ。

これは大きな枠組みで見たとき、インド - 太平洋(Indo-Pacific)全地域(commons、waterways and straits)の主導権をめぐり、瞬く間にアメリカと中共の軍事的衝突に増幅する可能性もある状況だとカザニス博士は付け加えた。
一言で言えば、北京は今、ワシントンの主敵へと急速に成長しているわけだ。

ユーラシア新興覇権勢力として登場した中空の負傷に不満がいっぱいのロシア

一方でロシアは、現在は正式には認めてないが、ロシアを押し出してユーラシアの新興覇権勢力として登場した中共の浮上に対して不満いっぱいだというのがカザニス博士の診断である。

もちろんモスクワと北京が経済協力を強化し、エネルギー協約を締結し、大量の武器取引など表面的には緊密に見えるのも現実である。
しかし、露 - 中関係が長期的(the long term)にも友好的であり続けるだろうか? 

関連してカザニス博士は「モスクワは、北京の隠された意図についてはかなり不快に思っている(Moscow especially has much to be concerned about when it comes to Beijing's intentions)」とモスクワが北京に受けている現実的な脅威と関連して、3つの視点を提示した。

まず、中共の一帯一路(one belt、one road initiative)は、まさに旧ソ連(ロシア)衛星国の中央アジア諸国を中共に編入させるロシア包囲戦略である。

特に北京が旧ソ連の衛星国と結んだ大規模なエネルギー協定は、こういった中央アジア諸国にとってかなり魅力的な経済的利益である。 

この点で、ロシアを囲んでいる周辺国(near abroad、旧ソ連衛星国)が中共の下に入ると、ロシアの国益、特に安全保障が致命的な脅威にさらされるしかない。

第二にロシアと中共の間の力(軍事力)のバランスが徐々に崩れており、中共がロシアを凌ぐ日が遠くないということだ。

中共はロシアのハイテク兵器であるS-400防空網システムとSu-35戦闘機を大量に購入した。
しかし中共は、ロシアの先端国防技術をじわじわと奪取して、クローンを大量生産する段階にまで成長した。 

在来式の軍事力は中共がすでに相当部分でロシアを上回っており、中空の軍事力は近い将来にロシア産武器よりもはるかに安い価格競争力で、ロシアの防衛産業を妨害壊滅させるのに十分である。 

特にロシアにとって最悪のシナリオは、中共との軍事的な武力衝突が起きた場合である。
つまり、すでにロシア産の先端軍事技術が中共に大挙公開されている状況で、ロシアの兵器システムは時代遅れになるというものである。 

第三にロシア - 中共の間にも、過去の歴史問題や領土紛争問題があり、中共は特にロシアの沿海州地域を狙っている。

中共は中共の前身である中国の過去の屈辱的な歴史を雪辱する機会をうかがっている。
中共の高位共産党官僚は口癖のようにアヘン戦争後の「屈辱の100年(century of humiliation)」という言葉を絶えず噛み締めている。

多くの専門家は中共の共産党官僚のこのような歴史的な被害意識は、中国(清)が西ヨーロッパ覇権国と結んだ不平等な条約に起因すると分析している。 

同じ脈絡で、このような被害意識に濡れた中共の共産党官僚の多くは、東部ロシア(Asiatic Russia)を中共の領土として認識しており、従っていつか取り戻す必要がある領域だと思っている。

もちろん以上は現在すぐに浮上するような問題ではないが、中共が強力な覇権勢力に浮上すると、現在南シナ海、尖閣諸島の領有権を主張しているように、ロシア東部地域はもちろんのこと、沖縄(Okinawa)とウラジオストク(Vladivostok)の領有権を主張する日も遠からずやってくるだろう。


カザニス博士は、米 - 露同盟が簡単に成立できないという点も伝えた。
彼は「今すぐ米国とロシアの同盟が成立するかは未知数」であり、「特にウクライナのクリミア事態や中東のシリア事態解決の推移が両国の戦略的協力関係を計るバロメーターである」と指摘した。 

しかしカザニス博士は、米国とロシアが地政学的再調整(geopolitical realignment)を介して中共を牽制するのは遠い未来には見えないと前提した後、「米国の観点で、今日の不良国家(Rogue nation)であるロシアが将来の『共同の敵(Common foe)』である中共を牽制するため明日のパートナー(Friend)になる可能性がある」と力説した。 

最後にカザニス博士は国際政治史の非情な現実、永遠の敵も友達もいないという教訓(Maxim)を含意するフレーズでコラムを仕上げた。

「過去の歴史を見ても、敵との同床は頻繁に行われた(Stranger parings have occurred in the past)」


韓国の自由統一愛国右派勢力は、国際秩序の本質的な変化を把握する必要がある

カザニス博士が照明をあてたように、今国際社会は、強大国間の新たな合従連衡の組み合わせが水面下で激しく起こっている。 

すでに日本も、安倍晋三首相は、オバマ大統領時代から「先制的」に、当時米国の反対があったにもかかわらず、中共を牽制する次元でロシアとの外交を強化してきた状況である。
これについて日本とアメリカでは、「オバマ大統領を押し出したトランプ大統領は、安倍晋三首相の対中牽制外交戦略を踏襲している」という分析までしはじめているのだ。

中共と北朝鮮の韓日離間戦略に巻き込まれ、いつも「安倍叩き」だけに没頭していた韓国の主流左派メディアが、中共牽制問題で、米日同盟、日露同盟、さらに米露同盟まで議論されている昨今の深刻な国際政治の現実を知っているはずがない。

いやむしろ韓国は現在、主流左派メディアはもちろん、一部の右派知識人たちも「トランプの反逆」云々いって、一次元的な論評に熱を上げているのが実情である。
同盟国の多数の国民の深層世論は知らず、その国の一部の反逆的な主流左派だけを追って、同盟国の敵を冒涜することが、今の国民のゲームとなっているのではないかと心配になる。

韓国の自由統一愛国右派勢力は、水面下の国際秩序の本質的な変化と同盟国の多数の国民の深層世論を把握して機敏に対処していかなければならない。 

その最初のステップは、国籍や左右への偏見を一切排除して、多様でバランスのとれた外信を分析することから始めなければならない。


チョヒョンヨン記者

引用ソース
http://mediawatch.kr/news/article.html?no=253524







*いやー、このコラム、おもしろい。
ただまあ、米露同盟ができる日があるとしたら、それは相当に中国が強大になっているということで、日本としては笑えるような話じゃないわけだけど。

で、以前から何度か言ってきたけど、日本の保守層は中国崩壊論が好きすぎると思う。
そんな簡単に崩壊するわけがない。



>>すでに日本も、安倍晋三首相は、オバマ大統領時代から「先制的」に、当時米国の反対があったにもかかわらず、中共を牽制する次元でロシアとの外交を強化してきた状況である。
これについて日本とアメリカでは、「オバマ大統領を押し出したトランプ大統領は、安倍晋三首相の対中牽制外交戦略を踏襲している」という分析までしはじめているのだ。

これねー。
今のトランプ政府が意識して踏襲してるかどうかは分からないけど、
安倍さんが就任初期から気づいていた国際社会の大きな流れに米国が遅まきながら気づきはじめたんじゃないかなという気がする。
気づけば選ぶ道は一つ。
今の米国の外交は、安倍さんのセキュリティダイヤモンド構想とかぶる。


>>いやむしろ韓国は現在、主流左派メディアはもちろん、一部の右派知識人たちも「トランプの反逆」云々いって、一次元的な論評に熱を上げているのが実情である。

この「一部の右派知識人」というの、趙甲濟ドットコムの大半の論客のことだよ。
翻訳はしてないけど趙甲濟御大も相当お怒りで、「トランプは北朝鮮に騙されたアホで反逆者だ」みたいな内容のコラムを書いてたりする。



いろいろ枝葉末節で文句言ってる人いるけど、
大事なのは「大枠をきちんと捉えられる人かどうか」だよ。
モリカケとかお酒を飲んでたとか
さらに女性問題とか漢字読めるかとか、
そんなものたいした問題じゃないんだよ。
大事なのは大枠。